トレンデレンブルグは歩行の片足支持期に、支持側と反対側(遊脚側)の骨盤が下がって傾く現象です。多くは外転筋の筋力低下、とくに中殿筋の筋力低下が要因で起こるとされています。しかし、外転筋とは反対の作用をもつ内転筋群の筋力低下でも同じような現象が起こるケースがあることを知っていますか?
原因が外転筋ではなく内転筋による場合の一例
☆健常者
・立脚期終期に反対側下肢への重心移動をおこなうために立脚側股関節は外転する。その際、股関節内転筋のブリッジ活動が安定した前額面上の骨盤移動に関与する。
☆股関節内転筋の機能低下による異常歩行
・立脚期終期に股関節は外転する。その際、股関節内転筋のブリッジ活動が低下していると体幹の重力の影響を受け、股関節外転方向に崩れていく。
・その為、股関節内転筋ブリッジ活動が低下している症例では股関節外転方向への崩れを補う為に、立脚期中期から股関節を内転位にした状態で立脚期を終えようとする。
以上が、内転筋が要因の場合のトレンデレンブルグのメカニズムです。この状態でもし、外転筋力を鍛えてしまった場合、股関節が崩れる外転方向へ誘導されるので、より不安定な歩行となります。つまり、教科書通りの治療を当てはめるだけでは、症状を悪化させることだってあるということです。
一番大切なことは現象⇒確認作業⇔変化と解釈⇒治療方針を立てるということです!
今回のケースで当てはめるなら、
現象(トレンデレンブルグ歩行)
⇒確認作業(外転筋の促通or内転筋の促通)
⇒変化と解釈(中殿筋の促通だと歩行のふらつき↑、内転筋促通だと安定性↑)
⇒治療方針(内転筋を強化する治療展開にしよう)
といった流れになります。
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